ボランティア体験記

ボランティア経験者にインタビュー

オリンピックボランティアを経験した市居愛さん(左)と新条正恵さん(右)
市居愛

市居 愛Ai Ichii

シドニー・アテネオリンピック ボランティア

大学院在学中にボランティアとしてシドニーオリンピックに参加。ビーチバレーボールの来場者案内業務に従事。2004年のアテネオリンピックにも参加し、フォトサービス業務、アテネパラリンピックでは会場案内業務を行った。

新条正恵

新条 正恵Masae Shinjo

リオオリンピック ボランティア

海外での生活や外資系企業での業務経験を活かし、英語だけでなく8ヶ国語を習得。現在は社会人向けの語学学習コミュニティを立ち上げ、運営している。オリンピックボランティアは今回のリオが初めて。さくらジャパンやセブンズジャパンなどの通訳業務を担当した。

第3回
2020年でおもてなしをするために

––– オリンピックのボランティアには大会運営をサポートする「大会ボランティア」と、国内外からの旅行者に観光案内や交通案内などを行う「都市ボランティア」があります。お二人は大会ボランティアとして参加されていましたが、一歩出れば都市ボランティアにおもてなしされる側でもあります。実際に大会期間中に都市ボランティアと関わることはありましたか?

都市ボランティアについて語る市居さん

市居 :シドニーのときもアテネのときも街中にインフォメーションセンターがあって、そこで都市ボランティアの方に観光案内をしてもらいました。私たち外国人にとってはわからないことを相談できる人がいるのはというのは心強いですよね。いるといないじゃ安心感が全然違いますよね。

新条 :選手やメディアの方は専用のバスなどで移動するんですけど、ボランティアは公共交通機関を使って移動するんですね。主要な駅のホームや改札近くには都市ボランティアの方がいるんです。日本でもそうですけど、乗り換えって結構大変じゃないですか。何両目までは途中しか行かないとか、同じホームに来るのに行き先が違うとか……。どの電車に乗ればいいのかと困ったときに、都市ボランティアの方に聞いて助けてもらったことがありました。あと、私が泊まったホテルの最寄駅にはエレベーターもエスカレーターもなかったんです。1カ月分の大荷物を持っているのに、どうしようと思っていたら、都市ボランティアの方が手伝ってくれて、本当に助かりました。

市居 :東京オリンピックのときも、外国人の方がたくさん来ると思うんですけど、都市ボランティアの方はいろいろなことを聞かれると思います。試合会場への行き方もそうだし、オススメの観光地を教えてほしいとか、あとは試合の日程とか。シドニーのときも、私がボランティアのユニフォームを着ているので、街中で声をかけられることがあったんです。「この試合は何時からだっけ?」と聞かれて、一緒になって調べたこともありました(笑)。

––– 日本人はシャイな性格だと言われますよね。外国人が困っていても、あんまり話しかけないと思うのですが……。

市居 :たぶん向こうから話しかけてくると思います(笑)。

新条 :あと、オリンピックの期間中だけは“変身”すると思います。私のチームにも内気な性格の子がいたんですけど、日を追うごとに積極的になっていきました。そういうパワーがオリンピックにはあるんですよね。

––– 2020年の東京オリンピックでボランティアをやりたいなと思っている人は、今からどんな準備をしておけば良いのでしょうか?

市居 :たぶん外国人と話すために英語とかを勉強しなきゃっていう人が多いと思いますし、それはすごく良いことだと思うんですけど、私は日本のことを勉強しておくことをオススメしたいです。というのは、アテネでボランティアをしたときに、私はホームステイをしていたのですが、そこでおばあちゃんと娘さんが毎日のようにアテネの歴史を語ってくださって。自分の国のことを、外国から来た人に自慢できるって、素晴らしいことだと思うんですよ。私自身も日本のことをもっと勉強して、ちょっとでも話せるようにしておきたいですね。

東京2020に向けて準備しておくことを語る新条さん

新条 :個人的には、東京駅とかに行って迷っている外国人の人に「どこに行きたいの?」と話しかけて、それに答えるというのがトレーニングになると思います。もしも、これから語学を勉強することを考えているのであれば、新しい言語をやってみると面白いのかなと。例えば、中国語をちょっとでも勉強しておくと、すごく喜ばれると思うんですよ。

––– どれぐらいのレベルで語学を話せるようになれば良いのでしょうか。

新条 :本当にカタコトぐらいでも大丈夫だと思います。私がリオに行って思ったのは「こんにちは」と「ありがとう」を10カ国語で覚えておくのが良いんじゃないかなと。日本って漢字の表示しかないところも多いので、外国人にとってはどこに行けばいいのかわからない、何のお店かわからないということがたくさんあるはず。そういう時に自分の国の言葉で「こんにちは」と話しかけてもらえたら、すごくホッとするはず。あとは、4年後は翻訳アプリとかもたくさん出てくるので、スマートフォンがあれば話せるようになるから、そこまで語学を頑張る必要はないと思います。

市居 :外国に行って一番困るのは、行きたい場所への行き方がわからないことなんです。シドニーのときに、間違った行き方を教えられて困ったことがありました。電車の乗り換えだったり、バスの種類だったりを英語とかで説明できるようにしておくのは、役に立つと思います

新条 :それから食べるところ。美味しいレストランだけじゃなく、世界中からたくさんの人が来るので、ベジタリアン向けだったり、ちょっと変わったお店を覚えておくと、すごく感謝されると思いますよ。あと、もしわからなければ「わからない」ということ。日本人って外国人に話しかけられたら笑顔でごまかすじゃないですか。あれって外国人にとってはわかるのか、わからないのかが判別しづらいんです。自分がわからなければ、わかりそうな人のところに連れて行くか、キッパリと「わからない」と言ってあげるようにしたいですよね。

––– 最後に、お二人は2020年の東京オリンピックに向けて、どんな関わり方をしていきたいと思いますか?

東京2020でどのような関わり方をしたいかを語る新条さん(左)と市居さん(右)

市居 :やっぱり、ボランティアですね。ボランティアのほうが楽しめるし、あの一体感はお金をもらわないからうまれると思うんですよ。密かな目標にしているのはボランティアのチームリーダーをやること。せっかく2大会やってきたので、新しい関わり方をしてきたいですね。

新条 :絶対にボランティアをやりたいですね。とりあえず、2018年の平昌オリンピックのボランティアはもう申し込みました。

––– すっかりボランティアにはまってますね!

市居 :アテネのときも、もう10回連続でオリンピックのボランティアをやっているという人がいました。

新条 :その方向性にまっしぐらですね(笑)。